本のおさかなさん
小説、詩、エッセイなどの本の中からから、魚や水生動物を集めた辞書型水族館です。
さかな
サカナ
奈良美智、松井みどり「外側からのまなざし 」『I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.』淡交社
一方で、白や淡い水色の空間を漂う、子供とも魚とも鳥ともつかない生物や、箱やカップのなかの子供達は、愛され、守られているはずの子供のなかにある「捨てられる」ことへの不安とともに、寝床や食卓などの日常から、幽界や別の宇宙へととぎれなく移行する、子供の時間の超時間性を呼び起こす。
サカナ、カニ、エビ
鈴木克美『水族館』法政大学出版局
わが国最初の水族館だった上野の「観魚室」は淡水魚の水族館だった。飼育用水は、動物園計画のはじめから利水計画のあった千川上水を利用していた。また、翌十七年一月の第三報告書には動物園の「今十二月三十一日飼養スル所ノ現数」のうちに、「魚一二〇尾、蟹蝦類七七疋」と、開館当初の観魚室の収容水族の内容概略が窺われる記録がある。
イサザ
日高敏隆「琵琶湖特産魚イサザの話 」『ネコはどうしてわがままか』法研
イサザは一夫一妻制である。オスは石の下の砂を口でくわえてとりのけ、産卵のための部屋をつくる。それからメスを一匹連れこんで、二匹で仲よく巣の仕上げをし、卵を産んで受精する。受精後ほどなく、メスは出ていって、もう帰ってこない。
イカ、ヒラメ
奥谷喬司『イカはしゃべるし、空も飛ぶ』講談社
色を変える動物は他にもあり、有名なものとしてはカメレオンとかヒラメが環境の色に体色を合わせて擬装する。しかし、かれらの変色は瞬間的というわけにはいかない。これにくらべ、イカは一瞬にして体色を変えるという超能力をもっている。
キンギョ
岡本信明 監修、川田洋之助 監修『金魚のことば』池田書店
赤い金魚をよく見ると、ひれや尾の先、上からは見えない腹部の下などが白くなっています。これが金魚のベーシックカラー「素赤」です。多くの品種に、このカラーがあります。
ランチュウ、フナ、キンギョ
杉野裕志『かわいい金魚』エムピージェー
ランチュウのような変化の極にあるものでさえ、広い池に放して無選別にしておくと数世代でフナ尾の和金のような姿ばかりになってしまいます。先祖(自然)に戻ってしまうのはあっという間、それほど金魚は生物界にとってはあやふやな存在なのです。
ムツゴロウ、デンキウナギ
園子温『夢の中へ』幻冬社
鈴木ムツゴロウという名前は、すべての運命を決定している。俺は38歳で、役者で、冴えない役者で、動きの取れない水槽に入った電気ウナギみたいにバリバリしている。何のための電気か。
ニンギョ、オットセイ
アンドレ・ブルトン、巌谷國士 訳『ナジャ』岩波書店
後者では魔王の顔と、鳥が唇をついばみにきている女の頭部と、うしろから見た人魚の髪と胴と尾と、象の頭と、おっとせいと、もうひとりの女の顔と、蛇と、ほかに何匹かの蛇と、ハートと、牛か水牛の頭らしいものと、善悪の木の枝と、そのほか二十ほどの構成要素が見わけられ、複製ではぼけてしまっているが、全体としてはまさにアキレウスの楯になっている。
ニブリング
トーベ・ヤンソン、小野寺百合子 訳『ムーミンパパの思い出』講談社
ニブリングはだいたいおとなしい動物なのですが、目についたものはなんでもかじったり、かんだりしないではいられないくせをもっています。とくに、まだ見たことのないものにたいしては、なおさらそうなんです。
スッポン
メアリー・バフェット、デビッド・クラーク、井出正介 訳、中熊靖和 訳『バフェットの銘柄選択術』日本経済新聞社
そして23%の収益率が20年間続くとすると、複利の魔術で20年後の元利合計は330万6059ドルにも達する。これは1万ドルを20年間タンス預金した場合の20万ドルはもちろん、5%運用した場合の34万7193ドルと比べても、月とスッポンほども違うのだ。
コイ
岡本太郎『今日の芸術』光文社
たとえば、「鯉の滝のぼり」にしても、「竹に雀」にしても、そのほか松だの虎だの達磨だの、私たちがしょっちゅう床の間でお目にかかっている画材は、形式はずっと複雑化していますが、やはり八の字に毛がはえた程度の符丁にすぎません。
ロブスター、サケ、ウミガメ、ワニ
モートン・N・コーエン、高橋康也 監訳、安達まみ 訳、佐藤容子 訳、三村明 訳『ルイス・キャロル伝 上』河出書房新社
チャールズはなじみの詩や歌をパロディにした。そういった詩や歌のいくつかは、ボートで川を上り下りするときにいっしょに歌ったものだ。「きらきらこうもり」、「ロブスター・カドリール」中の「サケよ出てこい」、「ウミガメ・スープ」、「ごらん小さなワニさんが」などなど。
サカナ
大宮エリー「周りを傷つけているあなたへ 」『思いを伝えるということ』文藝春秋
「もうそれうどんじゃないわ」
「じゃあなんだろう」
「さあ、はんぺん?」
「それは魚のすり身だろ?」
「おいしいの?」
ロブスター
ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド、三原淳雄 訳、土屋安衛 訳『株で勝つ』ダイヤモンド社
旅行の回数を減らし、新車の購入を延期し、衣服の購入を減らし、レストランでロブスターを注文することを減らしても、コーンフレークは変わりなく食べるだろう。ロブスターの埋め合わせに、もっとコーンフレークを食べるかもしれない。
キンギョ
深堀隆介『金魚養画家』文芸社
僕の探していた答えが、ヨーロッパでもなく、アメリカでもなく、まさにこの部屋にあった。
なぜこんなにも心惹かれるのか、このときはまだ解らなかったが、自分の心の暗闇に一筋の光が射したように感じた。
ぼくは、この日の出来事を「金魚救い」と呼んで大切にしている。